TANIさん投稿小説『新技を考えよーう』

 
 ある日、旭神空手の道場で優香は悩んでいた。

 「う〜ん・・・。」
 「どしたの?優香?」

 「あぁ、聡美。ボク悩んでるんだ。」
 「その悩み顔で分かるよ。で、何で悩んでるの?
  どうして何度も真奈美に胸揉まれるとか?」


 「それもあるが違う。」
 「羨ましいぞ、真奈美。」
 「何が?」

 ・・・で、本題。

 「ボク、新しい技を考えてんだ。」
 「新しい技?今のままでも強いのに?」

 「駄目だよ。今のままでは珠緒ちゃんの潜在能力に追いつけない。
  それどころかレイミや潤、それに君に劣ってしまうかもしれない。」

 「なるほどね。ワンパターンじゃ勝てない。だから何が新しい戦法を生み出す。
  それにはまず、新技を編み出す必要がある、っと。」


 「そう。聡美も手伝って。」
 「それだとヤバイんじゃあ・・・。」

 という訳で2人で新技を考えてみた。

 AM11:00

 「真奈美ちゃんの『ねころけっとぱんち』は?」
 「何故人の技をパクる?」
 「潤が真奈美ちゃんのねこグローブもらってボクに『ねころけっとぱんち』
  繰り出したけど自滅して。ボクなら上手く扱えるかなぁ〜って。」

 「・・・。」
 ※詳しくは『V.G.2 コミックアンソロジー』で。

 「他には・・・珠緒ちゃんの『空旋脚』とか。」
 「だからぁ・・・。つーか優香には『韋駄天足』があるでしょ?」

 「駄目か・・・。じゃあ、投げ技は?」
 「投げ技は潤や霧島さんの戦法。良いと思うけど・・・。」

 「駄目だ・・・。主人公の立場が薄くなる・・・。」
 「なんで?」

 AM11:30・・・。

 「ダメだ〜〜〜〜〜。
  ぜっんぜん思いつかない〜〜〜〜!」

 「やはり優香の新技は無理が・・・。」
 「諦めたらそこで終わりよ。」

 「・・・。(あのマンガを読んでたのか・・・。)
  ん?そういえば、『気吼弾』や『韋駄天足』の超必殺技版はあるけど、
  『蒼龍撃』のはないねぇ。」

 「・・・それだ!!
  『究極気吼弾』、『鬼龍韋駄天撃』に続く超必殺技!
  『蒼龍撃』を超必殺技にする!!これだ!!」


 「・・・あっ、それだと、やっぱりパクリに・・・。」
 「それでもいい!!ボクは決めた!!『蒼龍撃』の超必殺技を編み出す!!」
 「そう・・・。なら良いけど。」
 「ありがとう、聡美!」

 そう言うと優香は聡美に向かって拳を突き出した。

 「・・・ふぅ、本当にあんたって人は。」
 聡美も優香の拳に向かって拳突き出した。

 そして、2人は拳の甲を合わせた。
 良き『ライバル』であり、良き『友』だからこそ2人の『拳の挨拶』は深い意味を持つのだ。

 『V.G.』で戦ってきた『女神』達。
 その想いは『V.G.』の枠をも超えるものである・・・。
 だから、『今』も戦っている・・・。
 
 
 その後、優香の新技、『蒼龍撃』の超必殺技版は
 『牙斬・蒼龍撃』
 と、名付けた。
 
 
 「そんじゃあ、いくよ!聡美!!」
 「手加減無しで来い!優香!!」
 
 「何だろう?優香センパイと聡美さん、また強くなってる気がする。」
 「きっと、一つの困難を乗り切って強くなったのかもね。」
 「ふ〜ん。
  よしっ!私も困難を乗り越えて優香センパイの様に強くなる!」

 「・・・。(また、風が吹いた、か。)」
 



 試合終了。
 優香が僅差で聡美に勝った。
 フィニッシュ技は新技、
 『牙斬・蒼龍撃』
 
 ・・・珠緒とレイミの試合が始まった。
 最初はレイミの優勢で珠緒が次々と攻撃を喰らっていく。

 が・・・。
 (気吼弾を出した! ・・・!? その後に空旋脚!?)
 このコンビネーションに優香は驚いた。
 そう、『気吼弾』、『空旋脚』。その後に来るのは・・・。

 (蒼龍撃・・・!! ・・・まさか、僕の『鬼龍韋駄天撃』を珠緒ちゃんなりに・・・!?)
 珠緒もまた、新技を修得していた。
 『鬼龍空旋撃』
 珠緒、彼女もまた強くなっていた。
 (こりゃあ、一本取られたな・・・ハハッ・・・。)
 


 
 試合終了。
 またもや珠緒がレイミを打ち破った。
 これで珠緒はレイミに2連勝である。

 「また完敗よ。けど、次こそは私が勝つわ。覚えておくことね。」
 「はい!ありがとうございました!」
 
 ジュースを買いに行く優香。
 その時、優香は気配を感じた。

 「・・・!」
 優香の後ろに誰かが姿を現した。
 けど、優香はすぐに正体を悟った。

 「アメリカから帰ってきたの?千穂。」
 「ふっ。カルフォルニア州で潤やエリナと会ってな。
  組み手をしたんだが、二人共、前より強くなっていた。」


 「やっぱりね。きっと霧島さんも強くなってるはず。」
 「これは次のV.G.が楽しみだな。
  言っとくが今度こそ優勝はあたしが頂く!」

 「ボクだって負けないよ!」
 そう言い、千穂は去っていった。
 


 
 スペシャルマッチが行われる。
 優香相手に完敗した聡美が再びリングに上がる。

 (また私の番だ!大介、お姉ちゃん、頑張るからね!)
 相手は前回のV.G.エキシビジョンで優香相手に健闘した
 実力未知数の格闘家、『本条寺あきら』

 (あきら・・・、このボクも倒す事さえ困難だった。
  聡美はどう攻めるか・・・。)

 
 試合が始まった。
 あきらがいきなり近づいてきた。
 聡美は投げを予測し、間合いを離す。
 が、あきらが目の前にいない。

 「!?」
 あきらの至近距離スライディングキックが炸裂し、聡美はいきなりダウンした。
 10秒以内で立ち上がる聡美。

 (なるほど・・・優香が苦戦する訳だ。だが・・・!)
 今度は聡美が近づく。

 (!? 私に近づくなんて自殺行為よ。なのに何故・・・!?)
 その時、あきらの目の前で炎が出た。
 
 ・・・・・。

 
 ・・・気が付くとあきらは倒れていた。
 「・・・あれ・・・?」
 「・・・10!! SATOMI WON!!」

 あきらには分からなかった。何が起きたのか。

 「炎で目くらましてその隙に背後にジャンプ、そしてあきらを回し蹴りで
  正面に向け連続技の後に連続火焔斬を炸裂した。」

 「・・・中々の戦法ね。やられたわ。」

 1R1分の激闘だった。



 
 今回のV.G.エキシビジョンが終わった。
 どの女神も成長を見せた戦いだった。

 「聡美、あきらを素早く倒すなんてすごいねぇ。」
 「けど、あきらは全然本気を出していなかった。
  これじゃあ勝った気にならない!
  今度戦う時は本気出させてやるわ!」

 「全く・・・。」

 「優香、夜7時くらいに大介と一緒にハンナミラーズに行くから
  準備しててね!じゃあまた!」

 「うん!」

 そう言い拳の挨拶を交わし、聡美は去っていった。
 
 (みんながみんな強くなってる。 次のV.G.が楽しみだ!)
 
 TO BE CONTINUED…
 




 【あとがきへ進む】(原作とほぼ同様のネタバレが含まれます)


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